日日遊心

幸田露伴の歴史小説【運命】の現代語勝手訳その他。Done is better than perfect.無断転載お断り。

2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

幸田露伴「運命」50

【訳】 歴史を繙き、戦争のことを記すことにも疲れた。 燕王は挙兵から四年、ついにその志を果たした。これは天意か、人望か、運命か、勢いか、それとも必然の理があったのか。 鄒公瑾ら十八人は殿前において李景隆を殴って半死半生にしたが、なんの益にもな…

幸田露伴【運命】49

【訳】 五月、燕兵は泗州に至った。守将の周景初は降伏した。燕軍は進んで淮河に着いた。盛庸はこれを防ぐことができず、戦艦はみな燕の得るところとなり、盱眙も陥落した。燕王は諸将の建言を排してすぐに楊州に赴く。揚州の守将の王礼と弟の宗は監察御史の…

幸田露伴【運命】48 「霊璧の戦い」

【訳】 こうして対陣し日を重ねるうち、南軍に食料が大量に輸送されるとの知らせが入った。 燕王は喜んでいった、敵は必ず兵を分けてこれを守るだろう、兵が分かれて勢いが弱くなったのに乗じれば支えることなどできはしないといって、そう言って朱栄、劉江…

幸田露伴【運命】メモ

・兵力、物量のいずれにおいても燕王軍を凌いでいた明軍が燕軍に敗れ、永楽帝のクーデターが成功した理由として、皇帝側には洪武帝時代のたび重なる粛清で有能な将軍が少なかったためと言われる。燕王側は北方のモンゴルに対する防備に従事していた精鋭軍で…

幸田露伴【運命】47

【訳】 燕軍の戦況は芳しくなく、王も甲をつけたまま数日起居したというものの、将兵の心は一つとなって士気は上がった。それに対し、南軍は連勝したにもかかわらず、士気は下がった。 天意と言うべきか、それとも時運と言うべきであろうか。燕軍が連敗した…