徒然草で見つけた「ヘンな言葉」
朗読した中で、妙に印象に残った言葉を3つ上げてみる。
1 「あふさきるさ」
<意味>
❶行ったり来たりするさま。行きちがうさま。
❷一方がよければもう一方が悪いようす。ちぐはぐなようす。
❸あれこれと思い迷うようす。
「心の暇なく、あふさきるさに思ひ乱れ」(第3段)
訳:心の安まる時がなく、あれやこれやと思案にくれて。
多義語だが、ここでは❸の意味。
古語辞典だけじゃなく大辞林とかにも載ってるのが不思議。
2 「おひかぜようい」 【追ひ風用意】
<意味>
通ったあとによい香りがただようように、着物に香をたきしめておくこと。
「寝殿より御堂の廊に通ふ女房の追ひ風用意など」(第44段)
訳:寝殿から御堂(=本堂)への廊下に通う女房の香のにおいを追い風にただよわせるたしなみなどは。
いきなりなにかの号令だか四字熟語みたいのが出てきてなんじゃこりゃ、と😅
柔らかな和語の世界に角張った漢語がどんと現れたような異物感。
「うちわで風送って背中を押すぞーっ!みんな用意してーっ!」
初見時そんな光景が目に浮かんでしまった(意味不明)
実際の意味は何とも風雅な嗜みである。
香りといってもプンプン匂うのではなくて、通り過ぎた後ほのかに匂う感じ?
3 「ふすゐのとこ」【臥す猪の床】
<意味>
草を折り敷いた猪の寝床。また、猪。
「おそろしきゐのししも、臥す猪の床といへば、やさしくなりぬ。」(第14段)
訳:おそろしいいのししも、「ふす猪の床」と(和歌に)詠むと必ず、優雅になってしまう。
優雅ね、うーん、まあそうかな。
言い換えは馬鹿にできない。
「欠点」を「課題」と言い換えればうつむかず前を向ける、みたいな。
ついでにイノシシについて検索したら色々発見があって面白かった。
他にもあったら追記したい。