幸田露伴「 運命」1
世おのずから数というもの有りや。有りといえば有るが如く、無しと為せば無きにも似たり。洪水天に滔るも、禹の功これを治め、大旱地を焦せども、湯の徳これを済えば、数有るが如くにして、而も数無きが如し。
世の中に果たして天命というものはあるのであろうか。あるといえばあるようだしないといえばないようだ。洪水は天からやってくるが禹王はこれを治めたし、干ばつは土地を焦がしたが湯王の徳がこれを救ったのだから天命はあるようでないようだ。
世おのずから数というもの有りや。有りといえば有るが如く、無しと為せば無きにも似たり。洪水天に滔るも、禹の功これを治め、大旱地を焦せども、湯の徳これを済えば、数有るが如くにして、而も数無きが如し。
世の中に果たして天命というものはあるのであろうか。あるといえばあるようだしないといえばないようだ。洪水は天からやってくるが禹王はこれを治めたし、干ばつは土地を焦がしたが湯王の徳がこれを救ったのだから天命はあるようでないようだ。