徒然草 第14段 感想
歌人でもあった兼好の和歌論。
・紀貫之「糸による物ならなくに別れ路の心細くも思ほゆるかな」
「古今集の中の歌屑とかや言ひ伝へたれど、今の世の人の詠みぬべきことがらとは見えず」とある。
兼好は評価してるし僕もそんなに悪い歌かな?と不思議に思って、ググったら江戸中期の国学者・歌人の賀茂真淵が、この歌を古今集の中の歌クズとはどんな馬鹿が言ったんだと記しているらしく、急に親近感を覚えた。
それにしても歌屑とは酷い。
誰がこんな風に貶したか不明だが、糸くずからの連想かな。
あれがいい、これはダメと優劣を論じてる内に白熱してこうした言葉をぽんぽん使ったりしたのだろうか。
・祝部成茂「冬のきて山もあらはに木の葉降り残る松さへ峰にさびしき」
「少しくだけたる姿にもや見ゆらん」と兼好は評している。
あまり良くないのは僕にもわかる。
冬の到来を言って後は山、木の葉、松と次々に羅列し、説明してなんだか焦点のぼやけた印象だ。
・「やすくすなほにして、姿もきよげに、あはれも深く」
兼好の理想とする美であろうか。
こうした美学が例えば54段のように手の込んだ趣向を批判する姿勢にもつながっていると思う。